離婚が成立した後の親権者は誰?

民事 2024.10.8

現在の日本では、夫婦の離婚が成立した後、子供の親権者を父親にするか母親にするか、どちらかに決めなければなりません。そのため父と母で、どちらが親権者になるか争われることが多くあります。

しかし2024年6月に法律が成立して、離婚をするとき、夫婦はその協議でその双方又は一方を親権者と定めることができるようになりました。この双方というのは、共同親権のことで、一方というのが単独親権のことです。

つまり父と母の両方を親権者とすることができるし、これまでと同じようにどちらかを親権者とすることもできるようになったのです。裁判上の離婚の場合も同じです。この法律は、まだ施行されていませんが、2026年6月に施行予定です。

DVが離婚の原因になっていた場合や、父母がお互いに信頼できず、まともに話し合いができない場合は、どうでしょうか。共同親権になると子供の学校、病院、塾通い等、色々なことを決めるにあたって、相手と話し合いをしなければならなくなるので、何も決められませんね。子供に負担がかかるので、こういう場合は単独親権が必要です。

父母が離婚していても、子供とのつながりがあって、必要な話し合いが冷静にできるような場合は、共同親権が子供にとって良い面があるでしょう。

また母親が親権者になって離婚はしたけれども、法律が改正されて共同親権が認められるようになったので、2026年の法律施行後に、父親を共同親権者として認めて欲しいということで裁判所に親権者変更の申立てを起こす人が出てくることが予想されます。その場合は、過去の親権者争いが再び繰り返され、子供にとって負担になるというリスクもあります。ただ、一方で子供にとって良い結果になる場合もあるでしょう。

1979年にアメリカで公開され、アカデミー賞作品賞を受賞した「クレイマー、クレイマー」という映画がありました。ダスティンホフマンとメリルストリープが夫婦役で主演し、離婚した後、子供の親権をめぐって裁判で争うという映画です。アメリカの各州で共同親権が認められるようになったのは1970年代ですが、この映画は、その前、単独親権の時代設定になっています。

映画では妻が裁判で単独親権者になり、夫は妻に子供を引き渡さなければならなくなるのですが、映画のラストで妻が、子供の幸せを考えると、夫の元で子供を育てることを許容するという内容になっています。ある意味、共同親権の先取りですね。私は10代の時にこの映画を見て、ダスティンホフマンもメリルストリープも良い人で魅力的なのでハッピーエンドになるけれど、離婚する夫婦は本当にこんなもんだろうかと疑問に思ったのを覚えています。

私は離婚事件を多く手掛けているので、共同親権の法律が施行された後、この法律を良い法律にできるように、弁護士として運用面で微力を尽くしていきたいと思っています。

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